面接で落ちたとき、何が原因だったのかを知りたくなります。ただしその前に、切り分けておくべきことが2つあります。そもそも聞かれてはいけないことを聞かれていなかったかと、告げられた理由が本当の理由とは限らないことです。
まず、聞かれてはいけないことがある
厚生労働省は、採用選考は応募者の適性・能力に基づいて行うべきものとし、就職差別につながるおそれがある14事項を示しています。これらを応募用紙に書かせたり、面接でたずねたりすることは、公正な採用選考の考え方から外れます。
(a)本人に責任のない事項
- 本籍・出生地に関すること
- 住宅状況に関すること(間取り・部屋数・住宅の種類・近隣の施設など)
- 家族に関すること(職業・続柄・健康・病歴・地位・学歴・収入・資産など)
- 生活環境・家庭環境などに関すること
(b)本来自由であるべき事項(思想・信条にかかわること)
- 宗教、人生観・生活信条、思想、支持政党、尊敬する人物に関すること
- 購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
- 労働組合や学生運動などの社会運動に関すること
(c)採用選考の方法
- 身元調査などの実施
- 合理的・客観的に必要性が認められない健康診断の実施
- 本人の適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用
厚生労働省は、令和6年度にハローワークが把握した854件について、応募者から「本人の適性・能力以外の事項を把握された」と指摘があったもののうち、「家族に関すること」の質問が多くを占めているとしています。そして「面接の空気を和らげるために聞いてしまうケースが多い」と注意を促しています。
つまり、雑談のつもりで家族構成を聞かれることは、実際に起きています。答えづらい質問をされて調子が狂ったという記憶があるなら、それはあなたの準備不足ではありません。
- 採用選考時に配慮すべき事項(厚生労働省 公正採用選考特設サイト):https://kouseisaiyou.mhlw.go.jp/consider.html
告げられた理由が、本当の理由とは限らない
労働局が事業主向けに出しているリーフレットには、次の記述があります。
求職者に対し、経験や能力、適性が採用基準に達していないことを伝えにくいため、性別や年齢を不採用理由として告げていたケースがありますが、これは法律違反にあたりトラブルの原因となります。
言い換えると、言いにくい理由の代わりに、別の理由が告げられることがあると行政が認識しているということです。しかもその代わりに使われた理由のほうが違法になる、という構図です。
だとすれば、告げられた一言を手がかりに自分の何を直すかを考えても、見当違いの努力になりかねません。そもそも理由が開示されない仕組みについては不採用理由を聞いても教えてもらえないのはなぜかに書いています。
- 求人事業主と求職者の間で募集・採用に関するトラブルが増えています(香川労働局・ハローワーク高松):https://jsite.mhlw.go.jp/kagawa-hellowork/library/kagawa-hellowork/topics/9111101.pdf
実務で返ってくる理由は、大きく3つに分かれる
採用の現場で企業から共有される見送りの理由を並べると、表現は違っても次の3つに収まることがほとんどです。
1. 条件で外れている
必須要件を満たしていない、資格が無い、経験年数が足りない、通える範囲にない。これは面接の受け答えとは無関係に決まります。
2. 話の中身が薄い
なぜその会社なのかが説明できていない、調べれば分かることを調べていない、退職の理由と志望の理由がつながっていない。準備で変わる部分はここに集中します。
3. 受け答えの印象
質問に対して答えが返ってこない、話が長い、視線が合わない、表情が動かない。面接という場に不慣れなだけのことも多く、練習量で変わります。
この3つのうち、1は変えられず、2と3は変えられます。落ちた理由を1つに決めようとするより、この3層のどこに当たったかを考えるほうが、次の応募に効きます。
自分で当たりをつける方法
理由は開示されませんが、応募先の情報から推し量ることはできます。
- 求人票の必須要件を1行ずつ確認する。満たしていないものがあれば、それが1の可能性
- 面接で答えに詰まった質問を書き出す。同じ質問が別の会社でも出るなら、2の準備不足
- 面接の所要時間が予定より短かったか。早く終わったなら、序盤で1が判明していたことがある
在籍期間や転職回数のように、書き方では動かない条件については転職回数は何回までかを参照してください。
面接後に確認すること
- 聞かれた質問のなかに、14事項に当たるものが無かったか
- 必須要件のうち、満たしていないものがあったか
- 答えに詰まった質問はどれか。次も聞かれる種類のものか
- 告げられた理由があるなら、それは条件・中身・印象のどれに当たるか
まとめ
- 採用選考は適性・能力に基づいて行うものとされ、就職差別につながるおそれがある14事項が示されている
- ハローワークが把握した指摘のうち、「家族に関すること」の質問が多くを占めている
- 告げられた理由が本当の理由とは限らない。言いにくい理由の代わりに別の理由が使われることを行政も認識している
- 実務で返る理由は「条件で外れている/話の中身が薄い/受け答えの印象」の3つに収まる
- 変えられるのは後ろの2つ。どこに当たったかを切り分けてから手を打つ

