転職回数は何回までか:基準はどこに書かれているか

机に並べた2枚の書類を見比べる女性のイラスト 応募・選考

「転職回数が多いと不利」とはよく言われます。では何回からが多いのか。検索すると具体的な数字がいくつも出てきますが、その多くは出所が示されていません。

先に結論を書きます。転職回数について、公的に定められた基準は存在しません。 国が「何回までなら妥当」と示した統計も指針もありません。基準は企業ごとに決められていて、その多くは求人票の応募資格欄に書かれています

公的統計にあるのは「回数」ではなく「割合」

厚生労働省の雇用動向調査は、1年間にどれだけの人が職を移ったかを調べています。ただしこの調査が扱うのはその年に転職した人の割合であって、一人ひとりの通算転職回数ではありません。

令和6年(2024年)の年齢階級別の転職入職率は次のとおりです。

年齢 男性 女性
20〜24歳 13.4% 14.3%
25〜29歳 15.1% 16.8%
30〜34歳 10.3% 13.2%
35〜39歳 7.9% 10.5%
40〜44歳 6.8% 10.2%
45〜49歳 6.0% 10.7%
50〜54歳 5.1% 8.2%

20代後半では男性の15.1%、女性の16.8%が1年のあいだに職を移っています。6人に1人前後です。30代前半でも男性10.3%、女性13.2%で、珍しい出来事ではありません。

つまり「転職する人が少数派だから回数が問題になる」という前提は、統計上は成り立っていません。それでも回数が選考で見られるのは、別の理由があるからです。

  • 令和6年 雇用動向調査結果の概要(厚生労働省):https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/25-2/index.html

基準は求人票の応募資格欄にある

企業が採用を進めるとき、応募者を絞る条件はあらかじめ文章にされます。転職回数についても、年代ごとに上限を置く形、直近の一定期間だけを見る形、通算の回数で見る形など、書き方の型はいくつかに分かれます。そして企業によって厳しさに幅があります。

重要なのは、それが求人票の応募資格欄に現れるということです。「短期間での離職が続いていない方」「同業界での就業年数◯年以上」といった表現は、回数そのものを書いていなくても、回数と在籍期間を見ている合図です。

読み方の順番は次のようになります。

  1. 応募資格欄を1行ずつ読み、年数・期間・継続に関わる語を拾う
  2. その語が自分の経歴で満たせるかを確かめる
  3. 満たせない条件があるなら、書類の書き方では動かない可能性が高いと考える

満たせない条件で外れている場合、職務経歴書の表現を工夫しても結果は変わりません。この切り分けは不採用理由を聞いても教えてもらえないのはなぜかでも書いたとおり、労力の向け先を決めるうえで最初にやることです。

回数より「在籍期間の短さ」が見られている

実務で見送りの理由として言語化されるとき、単独で「回数が多い」と書かれることはあまりありません。多くは在籍期間の短さと組み合わせて述べられます。長く働けるかどうかを推し量る材料として、回数と期間がセットで見られている、という形です。

ここから逆算すると、同じ回数でも見え方が変わることが分かります。

  • 各社に長く在籍したうえで回数が重なった経歴と、どれも短期間で終わっている経歴は、回数が同じでも読まれ方が違う
  • 会社都合や事業縮小など、自分の意思によらない離職が含まれる場合は、その事情が分かるように書く

回数は変えられませんが、期間の意味づけは書き方で伝えられます。 ここが実際に手を入れられる部分です。

応募前にできること

1. 応募資格欄と自分の経歴を突き合わせる

条件を満たしているのに落ちるのか、そもそも条件を外れているのかを分けます。前者なら書類と面接の準備が効きますが、後者は別の求人を探すほうが早く進みます。

2. 職務経歴書で在籍期間の背景を短く添える

離職の理由を長く弁明すると、かえって印象に残ります。事実を1行で書き、その後にできるようになったことを書くほうが読み手には伝わります。

3. 仲介の入る経路を併用する

求人票に書かれていない不可条件を、間に立つ担当者が把握している場合があります。応募前に条件の可否を確かめられるぶん、外れる応募を減らせます。連絡が来ないまま待つ状態を避けるという意味でも有効です(応募後に連絡が来ないとき、選考で何が起きているか)。

応募前に確認すること

求人票の応募資格欄を見ながら、次を確かめてください。

  • 年数・期間・継続に関わる語(「就業年数」「短期間での離職」「継続して」)が入っていないか
  • その語を自分の経歴が満たせるか。満たせないなら、書き方では動かない条件である
  • 在籍が短い会社について、事実を1行で説明できるか
  • 自分の意思によらない離職が含まれる場合、その旨が経歴書から読み取れるか

まとめ

  • 転職回数に公的な基準は存在しない。「何回まで」という国の統計も指針もない
  • 公的統計にあるのは1年あたりの転職入職率で、上に挙げたとおり転職自体は珍しくない
  • 基準は企業ごとに決まり、求人票の応募資格欄に現れる。年数・期間・継続に関わる語を拾う
  • 見送りの理由では、回数より在籍期間の短さとの組み合わせが語られやすい
  • 回数は変えられないが、期間の意味づけは書き方で伝えられる

公的統計は2026年8月10日に確認しました。

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